「チョコレート戦争」(大石真 作) あらすじと読書感想文

1979年初版出版という古い本ですが、小学校高学年の頃に好きだった本です。
甘い洋菓子がたくさん登場しますが、子どもたちが自分たちを信じてくれない大人たちと戦うストーリーです。

■「チョコレート戦争」のあらすじ

※ストーリーのさわりの部分のみ記載

すずらん通りにある洋菓子店「金泉堂」は、東京のお菓子にも負けないくらいおいしいと、大人から子どもまで街中の人々に評判のお店でした。

金泉堂には、シュークリームやエクレアなどの売り物のお菓子とは別に、生クリームやウエハースなどの洋菓子の材料だけで作られた、高さ1m近いチョコレートのお城があります。そのお城は、金泉堂のショーウィンドウに毎日燦然さんぜんと飾ってありました。

ですがある日、チョコレートのお城のショーウィンドウが、何者かに割られてしまいます。ショーウインドウのガラスが割れた時、チョコレートのお城を眺めていたのは、明と光一という2人の小学生の男の子でした。

何が起きたか分からず反射的に逃げようとした2人は、金泉堂の店員に取り押さえられ、運悪く明が改造した空気銃を手にしていたため、金泉堂の社長や支配人から犯人扱いされてしまいます。明も光一も「やってない!」と訴えますが、信じて貰えず、「店の顔であるショーウィンドウを割るとは、重大な名誉毀損めいよきそんだ」と頭から叱られるばかりです。
幸いにも、学校に残っていた優しい桜井先生にその場は取りなして貰えましたが、金泉堂の大人たちは最後まで、明と光一を信じることはありませんでした。

翌日の放課後になっても腹立ちが収まらなかった光一は、ある作戦を思いつき、明に打ち明けます…。

■「チョコレート戦争」の説明

大石真 作、北田卓史 画。
定価390円、理論社フォア文庫。
1979年10月第一刷発行、1987年9月第37刷発行。

小学校中・高学年向け。

■「チョコレート戦争」の読書感想文

※ストーリーのネタばれを含みます。問題ない方のみ続きをお読み下さい。

この本、まず題名がいいですよね。チョコレート戦争。何ともおいしそうな戦いです。洋菓子店が出てくるとあって、作中に登場するイチゴ入りシュー・ア・ラ・クレームもエクレールもおいしそうなものばかりです。

↑ シュークリーム = フランス語で「chou à la crème(シュー・ア・ラ・クレーム)」です。
苺入りは、販売されているお店が見つかりませんでした…

でも大人に信じてもらえなかった子どもたちは、必死です。自分たちの無実を分かってもらうために、授業そっちのけで計画を立て、みんなで力を合わせて行動に移していきます。大人顔負けの度胸を持つ光一は誰もがあっと驚くような方法を、意志が弱く慎重派な明は自分にできる最良の方法を選択し、それぞれのやり方で大人に一矢報いっしむくいようとします。同じ小学生として、登場人物のみんなを全力で応援しながら読んでいました。

そして、多分私を含む子どもはみんなこの本のラストが大好きだと思うのですが、お話の最後に、大人達がお詫びとしてとってもいきなことをしてくれるんです。
その粋な計らいが洋菓子好きの子どもにはうらやましく、「いいなあ、こんな街住みたいなあ」と子どもながらによく思っていました。

↑ 「éclair」を英語読みするとエクレア、フランス語読みするとエクレールになります。
エクレールは、シュー・ア・ラ・クレームの一種(!)なんだそうです。

大人になって改めて読み返してみて、ラスボス的位置づけである金泉堂の社長「谷川金兵衛」氏について、社長が青年だった頃のエピソードが記載されている点が、この小説の魅力を跳ね上げていることに気づきました。

信じてくれない大人の代表格である谷川金兵衛氏ですが、決して悪い人ではなく、真面目で、努力家で、曲がったことが決して許せない人あることを、読者は青年時代のエピソードを通して知ることになります。年をとるにつれ、疑り深くなり、素直で真っ直ぐな心を持ったこどもでさえ信じることができなくなっているだけなのです。その冷えきってしまった心は、金兵衛氏の恩人であり、人を信じる気持ちを失くしてしまっていたハリーさんの姿とも重なり、より一層哀しさを感じます。

そんな大人達の冷えた心を、物語のラストで子ども達と青年が見事にあたためなおしてしまうので、大人の側から見ても、癒しと救いのある小説だなあと感じました。

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■読書感想文をどう書いたらいいか困ったら

この記事は夏休みの時期(7月~8月)に見て下さる方がとても多いので、子どもさんが読書感想文を書く時のヒントになりそうなことを、少し書いておきますね。

・明や光一の立場に立たされた時、自分ならどう行動するか

子どもらしくて面白い読書感想文を書くなら、「自分が光一や明の立場ならどうするか」がイチオシです。大人が思いもつかないようなアイディア満載まんさいの作戦や、斬新ざんしんな行動がいっぱい出てくると思うので、わくわくしながら読書感想文を書けるし、読む人も楽しんで読めると思います(笑)

・何が失敗と成功を分けたのかを考える

光一の計画&行動と明の行動を比べた時、光一の計画は計画的でかっこよくて、金兵衛氏を確かにぎゃふんと言わせられそうな、素晴らしいものに思えます。ですが、実際に金兵衛氏をぎゃふんと言わせたのは、明の行動の方でした。一体どうしてでしょう? 明が計画を1人で抱えきれなかったことも理由の1つですが、明の行動にはあり、光一の行動には足りなかったものもいくつかあります。光一の行動と明の行動を比べてみて、「これだ!」と思うものがあれば、みんなに分かるように感想文に書いてみてはどうでしょう?

・誰かを中心に据えて感想文を書いてみる

「チョコレート戦争」は登場人物も多く、それぞれの登場人物がさまざまな立場から物語に参加しているので、観察力と想像力をフル稼働かどうすると、その人たちの気持ちを読み解くことができます。

トラック運転手のあにき(義治さん)に注目する

金泉堂のシュークリームが1つ80円もするのに、ラーメン屋で1杯50円のラーメンを、それも夕方近くになってからすすっているトラック運転手の2人は、恐らく決して裕福な人ではないのでしょう。金泉堂に名乗り出れば、叱られた挙句あげく、お昼ごはん代の何倍もお金のかかるショーウィンドウガラス代を、弁償べんしょうしなければならなくなります。

それでも仕事を中断ちゅうだんしてまで名乗り出ることにしたのは、トラック運転手義治さんが子どもを思う気持ちや、誠実さ、道徳心や倫理観りんりかんを、持っている若者だったからでしょう。
感想文を書いている子どもさんは、自分が義治さんの立場だったら、きちんと名乗り出ることができるかな?

■チョコレートのお城(実物)が見られる場所

小説に登場するチョコレートのお城を実際に見ることは出来ませんが、別の方の作られたチョコレートのお城は、運が良ければ、見たり食べたりすることができます。

ディズニーホテルのクリスマスパーティでは、ディナー会場にチョコレートのお城が飾られていることがあるそうです。また、百貨店のスイーツ売り場や、腕のいい地元のケーキ屋さんのショーウィンドウにも、展示されていることがある様子。ケーキ屋さんによっては、誕生日やパーティ向けに、チョコレートの城を普段から作られている方もいらっしゃるそうです。

「チョコレート戦争」を読んだからには、見れるものなら一度見てみたいですね。

↑ 新書と単行本の2種類が売られていますが、新書の方がお安いです。
古い本なので、お近くの市立図書館にも置かれていると思います。

水彩色鉛筆画:ガラスボトル ~炭酸瓶シリーズ~

ガラス瓶5本を縦に並べ、白いスケッチブックに鉛筆と水彩色鉛筆でデッサンした絵。モチーフは左から順に、薄緑色のコーラの空瓶、MOETの緑色に金ラベルのシャンパンボトル、白い天使のラベルが貼られたドイツビールの茶色い空瓶、Monopoleの黄緑色のシャンパンボトルの空瓶、ラムネの水色の空瓶。

モチーフ コカコーラの空瓶 1本、ラムネの空瓶 1本、
シャンパンボトルの空瓶 2本、ドイツビールの空瓶 1本
使用画材 スケッチブック、三菱鉛筆uni 数本、ステッドラーの水彩色鉛筆48色セット、
その他色鉛筆多数、茶系水彩絵具、練り消しゴム
製作場所 T先生の絵画教室
完成日 2016/02/13

モチーフについて

水彩色鉛筆を使用したかったので、T先生の教室に保管されていた瓶のうち、色のついた瓶だけを採用。

ラムネ・コーラ・シャンパン×2・ビールと計5本もあるので、構図に悩み、当初はラムネ・コーラ・ビールのいずれか2本を選んで、前列にしようと思っていた。が、シャンパンの値段が高いこと(ビールより遥かに高かった…)、T先生がシャンパンが一番お好きなことなどモチーフに関する情報を仕入れていくうちに、シャンパンが貴婦人に見えてきたので、前列は貴婦人方にお越しいただくことにした。

偶然にも、モチーフに採用した瓶には全て炭酸が含まれていたので、それに気付いてからは「炭酸シリーズ」と勝手に名付けて呼んでいた。5本とも、瓶の色も形もラベルも美しく、描いていてとても楽しかった。

描き方について

最初に、鉛筆デッサンとしても通用するくらい、三菱鉛筆uniでしっかり形を描き込んだ。H鉛筆などで立体を構成する面をがりがり描き込んだが、4B鉛筆以上の濃い黒は、この時点ではまだ置かなかったと思う。

その後、スケッチブック全体に淡いセピア系の水彩絵具を刷いた。茶系の水彩は、いつものごとく2~3色は混ぜた。カラーインクDr.Martin Radiantの28B SEPIAは使ったと思うが、水彩用パレットに長年端座したままの色を毎度そのまま使うので、どのメーカーのどの色がスケッチブックに乗ったのかは、描いた本人にも殆ど分からない(笑)

最後に、色鉛筆で細部を塗り込む。細部を彩る色鉛筆は、水彩色鉛筆と通常の色鉛筆を区別せず利用した。コカコーラ瓶の淡い緑が、手持ちの水彩色鉛筆だけでは出せず、四苦八苦した記憶がある。実物はもっと色が淡い。水彩絵具で淡い色を出すのは簡単(水を足すだけ)なので、色鉛筆で淡い色を出すのにこれほど苦戦するとは、想定していなかった。色鉛筆を買い足すなら、淡い色から買い足された方が賢明だと感じる。メインで使用したのはステッドラーの水彩色鉛筆48色だが、MITSUBISHI油性色鉛筆など他のメーカーの色鉛筆なども使用した(欲しい色が足りないから…)。

鉛筆画:壊れたバイオリン a broken violin

弦が1本切れている木製のバイオリン1台を、バイオリン全体が入るよう、スケッチブックに三菱鉛筆でデッサンした絵を写真に撮ったもの。バイオリンは弦の部分を上にして、白く平らな場所に置かれており、バイオリンの顎当ては黒く艶やかに光っている。

モチーフ バイオリン(ミニサイズ)(弦が1本切れている)
使用画材 スケッチブック、三菱鉛筆uni、練り消しゴム
製作場所 T先生の絵画教室

モチーフについて

モチーフに選んだのは、本物の4分の3ほどの大きさのバイオリン。大きさが小さいだけで、ボディや部品の材質は本物と同じ。ボディは飴色をした美しい木材でできており、描き手のテンションを上げてくれた。バイオリンは、T先生の絵画教室に保管されていたもの。

バイオリン独特の形状を正確に描き出すことが、欠かすことのできないポイントだった。少なくとも木・金属・プラスチックという触感の異なる3種の物質で構成されているので、質感の描き分けが重要なポイントの1つだった。

実際に音を奏でることも出来るそうだが、残念ながら、描き始めた時には既に弦が切れてしまっていたため、バイオリンの生音を聴くことはできなかった。楽器の中ではバイオリンやビオラなどの弦楽器の音が好きで、一時期クラシック曲にはまってオーケストラや弦楽器の曲ばかりを聴き込んでいたことがあったので、その時聴いた音を脳内で補いながら描いた。

描き方について

真新しいものより時を経て現在に残存するものの方に心惹かれるので、このモチーフでも、ボディ全体に古さが出るように線を重ねた。鉛筆は6Hから6Bくらいまで使った。

全体的に色が濃いので、普段メインで使うH鉛筆でデッサンすると、後から描き足す2B・4B・6B鉛筆にH鉛筆の繊細な筆跡が全て塗りつぶされてしまう、という私の苦手なパターン。美術大学受験などでデッサンの正規教育を受けた方はこうしたモチーフの場合、黒い部分を最初から芯の濃い鉛筆で描き始めるらしいが、未だにこの描き方をしない。塗りつぶされる分時間が倍かかるが、H鉛筆以下の線がないと、絵がすかすかして繊細さが失われるのではないかと感じる。(単に6B鉛筆で描き始める意気地がないだけ、という訳では断じてない) 画面上で一番暗い「黒」も、十分濃くするよう注意した。正直バイオリンの形を取るより、苦手な黒を濃く強く出すことの方に気を遣った。

木・金属・プラスチックの質感の違いは、残念ながら、この絵では十分に描き出すことが出来なかった。特に木製の質感については、当初バイオリンの艶に全く気付いておらず、艶がないものとして描いていたので、T先生から見事に指摘を受けた。これ以降、T先生から質感の異なるモチーフを1つまた1つと手渡されることになる…。

洋書の無料電子図書館 “Project Gutenberg” 検索方法や感想など

洋書を何冊でも無料で読める電子図書館がありました。

Project Gutenberg (プロジェクト・グーテンベルク)

■”Project Gutenberg”の説明

「シャーロックホームの冒険」・「不思議の国のアリス」・「サロメ」など、出版された著名な文学作品のうち著作権が切れたものを、無料で読むことのできるウェブサイトです。現時点で54,367作品がこちらのサイトに保存されています。

プロジェクト・グーテンベルクはアメリカの大学生が創始したサイトなので英語で書かれた作品が多いですが、フランス語・ドイツ語・イタリア語から、中国語ラテン語・タガログ語に至るまで、幅広い言語で書かれた作品が保存されています。

筆者が日本人の著作や日本に関する書籍も、数は多くはありませんが保存されています。小説では、夏目漱石「坊っちゃん」、小泉八雲「怪談」等があり、日本の神話や日本の女性についてなど、外国の方から見た日本が書かれた学術書もあります。

また、選んだ作品をどう読むかも読者が選択できます。
HTML形式を選んでWeb上で作品を開いて読んだり、テキスト形式を選んでパソコンにダウンロードして単語のメモを取りながら読んだり、Kindle形式を選択してDropBox・GoogleDrive・OneDriveに作品を保存したりできます。

但し、ホームページは全て英語で書かれていますので、使いこなすには多少の英語力が必要です。

■”Project Gutenberg”の使い方

英語の苦手な方向けに、本の探し方を簡単にご説明します。

1. 下記のリンク(下線の部分)をクリックし、Project Gutenbergのサイトを開きます

Project Gutenberg (プロジェクト・グーテンベルク)

2. サイトが開いたら、画面上部にある検索ボックスに、読みたい本の著者の名前や著作名を半角英数字で入力します。
  ここでは仮に、新渡戸稲造「武士道」を検索しようと思うので、「nitobe」と入力しました
  ※日本語や全角英数字は認識されませんのでご注意下さい

洋書の無料電子図書館Project Gutenbergで、読みたい本を検索する方法を説明しているスクリーンショット。Project Gutenbergのwebsiteのトップ画面が開かれており画面最上部にあるsearch boxに「nitobe」と入力されている。

 入力を終えたら、検索ボックスの右側にある虫めがねのマークをクリックし、検索を開始します。

3. 検索結果が表示されました。
  検索結果の中から、読みたい本を選び、リンクをクリックします。

洋書の無料電子図書館Project Gutenbergで読みたい本を検索する方法を説明しているスクリーンショット。画面2(新渡戸稲造「武士道」を検索して検索結果が1件表示された画面)

4. 最後に、どの形式で読むかを選択します。
  とにかく読めればいい!という方は、「Read this book online: HTML」の箇所をクリック下さい。

洋書の無料電子図書館Project Gutenbergで読みたい本を検索する方法を説明しているスクリーンショット。画面3(新渡戸稲造「武士道」をどの形式で読むか選択する画面。ここではHTML形式を選択している)

5. 本の中身が表示されました。

洋書の無料電子図書館Project Gutenbergで読みたい本を検索する方法を説明しているスクリーンショット。画面4(新渡戸稲造「武士道」のタイトルがwebサイト上にHTML形式で表示されている)

本によっては最初に訳者による注釈が書かれている場合があるので、本文から読む際は、少しスクロールして本文を探し出してからお読みください。どの本も上から順に、

 「PREFACE」(はじめに)
 「CONTENTS」(目次)
  (本文)

という構成で書かれていることが多いです。

■ジャンルごとに本を選ぶ場合は

現時点で”Project Gutenberg”には22のサブカテゴリーが用意されているので、ジャンルごとに読みたい本を探すことも出来ます。

1. 下記のリンク(下線の部分)をクリックし、Project Gutenbergのサイトを開きます

Project Gutenberg (プロジェクト・グーテンベルク)

2. “Project Gutenberg”のトップ画面の左の列にある「Book Categories」のリンクをクリックします
  右側の画面が切り替わり、サブカテゴリーごとに分類されている画面が見えるようになります。

洋書の無料電子図書館Project Gutenbergで読みたい本をジャンルごとに探す方法を説明しているスクリーンショット。画面1(Book Categories」のリンクをクリックした後の画面)

 サブカテゴリーはいくつかの本棚(Bookshelf)に分かれており、更に詳細に本を絞り込むことができます。
 例えば、「Fine arts」(美術)のサブカテゴリーは、「Architecture」(建築)と「Art」(美術)の本棚に分かれています。

洋書の無料電子図書館Project Gutenbergで読みたい本をジャンルごとに探す方法を説明しているスクリーンショット。画面2(subcategoryの欄でArt bookshelfへのリンクをクリックした画面)

それぞれの本棚のリンクをクリックすると、著者と著作名が一覧になった画面が開いて、本を選ぶことが出来るようになっています。
ここでは「Art」(美術)の本棚を開いてみました。下にスクロールすると、書籍一覧の中にレオナルド・ダ・ヴィンチのノートやレンブラントの解説書が表示されているのが分かります。

洋書の無料電子図書館Project Gutenbergで読みたい本をジャンルごとに探す方法を説明しているスクリーンショット。画面3(subcategoryの欄でArt bookshelfのリンクを開いた後の画面)

■”Project Gutenberg”を使ってみた感想

オスカー・ワイルドの「Salome」(サロメ)の原書を見てみたくて、”Project Gutenberg”を使用しました。”Salome”はフランス語で書かれた原書と、英語で書かれた翻訳版の2種類が公開されており、両方を見比べることが出来て面白かったです。(余談ですが、”Salome”は素晴らしい作品でした。オスカー=ワイルド、凄いです)

洋書を購入する前に、試し読みとして使えるのが気に入っています。全世界で聖書の次に売れていると言われるアガサ・クリスティの作品まで、無料で公開されていました。

 アガサ・クリスティ「スタイルズ荘の怪事件」(名探偵ポアロシリーズ)
 http://www.gutenberg.org/ebooks/863
 アガサ・クリスティ「秘密機関」(トミーとタペンス・シリーズ)
 http://www.gutenberg.org/files/1155/1155-h/1155-h.htm
 
先日ラダーシリーズで読んだディケンズの”Oliver Twist”も無償公開されていました。こちらはイラスト付きです。
(イラスト付きの書籍は、画像を読み込むのに時間がかかるので、Webページが全て開くまでに少し時間がかかります)

 チャールズ・ディケンズ「オリヴァー・ツイスト」
 http://www.gutenberg.org/files/46675/46675-h/46675-h.htm

小説だけではなく、歴史書や美術解説などの学術書などもあります。レンブラントの作品と解説が掲載されている本も、少し拾い読みさせて頂きました。

 Estelle M. Hurll「Rembrandt」
 http://www.gutenberg.org/files/19602/19602-h/19602-h.htm

ただ、Html形式は本の拾い読みには丁度良いですが、英和辞書で調べた単語の意味を小説の余白にメモしておくことが出来ないので苦労しました。特定の著作を本格的に読み込みたい方は、テキスト形式でダウンロードして、パソコンに保存してから読む方法をおすすめします。

洋書の場合、内容が自分の興味に沿うかどうかに加え、自分と書籍の英語レベルが合っているかも関わってきますので、本屋さんで大枚をはたいて買っても、結局殆ど読まなくなってしまった本が何冊かあります。
そうした状況は本にとっても自分にとっても悲劇なので、買って読まなくなるくらいなら”Project Gutenberg”を上手に使った方が良いかな、と最近は思っています。

Project Gutenberg (プロジェクト・グーテンベルク)

「そらいろのたね」(なかがわりえこ 著) あらすじと読書感想文

「ぐりとぐら」の作者お2人が作られた絵本です。

■「そらいろのたね」のあらすじ

※ストーリーのさわりの部分のみを記載

ゆうじ君の宝物は、模型の飛行機でした。ゆうじ君がたんぽぽの咲いている野原でその飛行機を飛ばしていると、きつねがやってきて、飛行機を頂戴とねだりました。

ゆうじ君が、これは僕の宝物だからあげない、と断るときつねは、それじゃあ僕の宝物の交換して、と言い、ポッケからそらいろのたねを取り出したので、ゆうじ君は飛行機と種を交換しました。

ゆうじ君はそらいろのたねを庭の花壇に蒔き、じょうろでお水をあげました。すると翌日、そらいろのたねを蒔いたところから、小さな小さな空色の家が生えてきました。家には小さなドアと窓と煙突がついています。ゆうじ君は喜んで、せっせとお水をやりました。

そらいろのいえは少しずつ大きくなり、ある日ひよこが、ゆうじ君の育てたそらいろの小さなおうちを見つけ、「ぼくのうちだ」と思い、住み始めました。そらいろのいえがもう少し大きくなると、今度は猫が見つけ、「わたしのうちだわ」と思い、ひよこと一緒に仲良く住み始めました…。

■「そらいろのたね」の説明

「ぐりとぐら」シリーズを作られた、なかがわりえこさん&おおむらゆりこさんのコンビで作成された絵本です。文章はなかがわりえこさんが、イラストはおおむらゆりこさんが担当されており、お2人は実の姉妹(!)です。絵本「そらいろのたね」には、ほんの少しだけ、ぐりとぐらも登場します。

福音館書店出版。1979年5月に改定版第1刷、2008年7月に改定版第94刷。
定価800円(税別)。

読み聞かせは4歳から、お子さんがご自分で読まれるなら小学校初級~ が推奨。

■「そらいろのたね」の読書感想文

※ストーリーのネタばれを含みます。問題ない方のみ続きをお読み下さい。

楽しくおいしく可愛らしい「ぐりとぐら」シリーズとは少し毛色が違い、可愛らしい中に教訓めいたものが仄かに香る絵本でした。



芽(?)を出したばかりのそらいろのいえは、大変小さく可愛らしかったです。踏んづけたら壊れそうなくらいの小ささで、ひよこさんが1匹だけ入ることができます(笑) でも四角い窓と円い窓がついていて、窓は大きく広々としていて、何だか居心地の良さそうな雰囲気を醸し出していました。
おうちのサイズ感といい、雰囲気といい、私のツボに見事はまり、ひよこさんごと我が家に持ち帰りたくなるようなおうちでした(笑)



そんなそらいろのおうちが大きくなり、1匹の強欲なきつねさんに支配されてしまった時、私は学生時代に学んだパレスチナとイスラエルを思い出しました。

パレスチナは、地中海の東側にある面している土地で、キリスト教とイスラム教とユダヤ教という三大宗教の聖地が、僅か1平方キロメートルに納まってしまっているという、世界的にも稀有な街エルサレムを有しています。

昔はどの宗教の方もパレスチナの地で平和に共存していたそうなのですが、20世紀に入ったあたりからユダヤの方が移住し始め、20世紀半ばにユダヤの方がパレスチナの地にイスラエルという国を作ってしまってからは、その地に住めなくなったイスラム教徒との、争いが絶えない土地になってしまいました…。



何かを求めて行動した結果、他の方と平和に共存出来なくなってしまったのはユダヤの民だけではありませんが、欲に駆られて何かを求めた時は、そらいろのいえが太陽に向かって膨らみ始める時なのかもしれません。

そらいろのいえは植物のような存在で、窓を閉め切ってしまうと息(光合成?)ができなくなってしまうのか、強欲な動物には支配できないからなのか、いえが壊れてしまった理由は、本書では明かされていません。でも、そらいろのいえが膨らみ始めた時、ドアや窓を開けてもう一度みんなを招き入れていれば、そらいろのおうちは壊れなかったんじゃないかな、と感じます。

そらいろのいえは、色といい、住んでいる人や動物の数と種類の多さといい、地球によく似ています。綺麗で住み心地のいいおうちが壊れてなくなってしまわないよう、注意しようね、という願いが込められた絵本なのかなあ、と思いました。

「魔性の子」(小野不由美 著) あらすじと読書感想文

十二国記シリーズの一作なのに、電灯を消すのが怖くなるほど、ホラー要素の強い小説。だが、エスカレートする怪事件と、次第に逃げ場を無くしていく高里と広瀬が気になって、先を読まずにはおられないかった。

■「魔性の子」のあらすじ

※平成3年発行の初版のストーリーを、ストーリーのさわりの部分のみ記載

主人公広瀬は、教育実習生として3年弱ぶりに母校の高校へと戻ってきた。3年弱の間に制服は変わり、校舎は街外れへと移転して真新しくなり、校内の地図を見ながらでないとかつて入り浸っていた化学準備室の場所も分からず、広瀬は部外者の様な何のよすがもないところへ来ているような、寄る辺のなさを感じる。それは広瀬が、気が滅入った時に必ず感じる、「帰る場所のない気分」によく似ていた。

特別教室棟の一角に何とか化学準備室を見つけ、実験用具やメモや油絵具が雑然と置かれた場所で教育実習の担当教官であり恩師でもある化学教師の後藤に再会すると、ようやく広瀬の疎外感は薄らいでいった。

後藤に連れられ、担当する2年6組の教壇で出席を取った際、広瀬はクラスに不思議な生徒がいるのを目にする。高里という名のその生徒は、外見は闊達とした成長期の若者のそのものだが、立ち居振る舞いが外見と不釣り合いなほど静かで、不思議と目を引いた。
広瀬自身、高校時代は遅刻欠席の多いはみ出し者の問題児だったが、後藤は「広瀬ははみ出したくてはみ出していたが、高里は群れに入りたいのに入れなくてはみ出しているところが違う」と言う。

教育実習3日目に、高里が1人教室で居残っているのを見かけ、広瀬は高里に話しかけた。その直後、高里の足元を何か獣のようなものが走り抜けていったように広瀬には思えたが、それが何なのかは判然としなかった。翌日の昼休み、かつての広瀬と同様化学準備室にたむろしている学生達に高里の話を向けると、高里と同じクラスの生徒築城から「高里は小学生の頃神隠しに遭っている」「高里には関わらない方がいいんだ」と聞かされる。

実習5日目のホームルームの時間に、2年6組が体育祭の準備をしていると、2年のクラスにやってきた3年の橋上が、神隠しのことで高里をからかう。と、広瀬には、クラスの全員に強い緊張が走ったように思えた。高里の目の前で神隠し情報のリーク元扱いされた築城はやっきになってその事実を否定し、からかい続ける橋上に、高里は僅かだが眉をひそめた。

その日の放課後、化学準備室に学級委員が飛び込んで来、体育祭の準備をしていた築城が同級生の扱っていた鋸で脛を切られたと聞かされる。広瀬が保健室に急ぐと築城は既に帰宅した後だったが、養護教諭の十時先生から、同じ日に釘で手を打ちつけた男子生徒がおり、その名前は3年の橋上だと聞かされる…

■「魔性の子」の説明

小野不由美さんの代表作、十二国記シリーズの一作。十二国記シリーズは主に異世界を舞台とするファンタジー小説でホラー要素はないが、本書はシリーズの一作ながら、ファンタジー要素よりホラー要素が強い
高里が登場する「風の海 迷宮の岸」(上下巻)と「黄昏の岸 暁の天」(上下巻)とあわせて読むと、本書では多く語られていない高里と十二国をより深く理解できる。

現在発売されている十二国記シリーズの書籍は、下記の通り。(下にいくほど新しい)

「月の影 影の海」(上巻・下巻)
「風の海 迷宮の岸」(上巻・下巻)
「東の海神 西の滄海」
「風の万里 黎明の空」(上巻・下巻)
「図南の翼」
「黄昏の岸 暁の天」(上巻・下巻)
「華胥の幽夢」(短編集)
「丕緒の鳥」(短編集)

新潮社の十二国記公式サイトへは、下記のリンクよりどうぞ。
 http://www.shinchosha.co.jp/12kokuki/

■「魔性の子」の読書感想文

本書は、ホラー小説である。ファンタジー小説の要素も含んではいるが、読み進むにつれ、背後を振り返って誰もいないことを確かめないと理由もなく怖い、という症状が2~3日続くので、ホラー小説だと思う(笑)

怖いものがあまり得意でない私は普段ホラー小説を読まないが、この一作は高校時代に出会ってから社会人になった現在に至るまで、手元に置き続けている。先日数年ぶりに読み返したが、ストーリーの細部の記憶をなくしていたこともあり、時間を忘れて貪り読んだ。加齢で集中力が途切れがちな昨今、ふと時計を見たら2時間半過ぎていたというのは、貴重な経験である。

小野不由美さんは「東亰異聞」や悪霊シリーズから現在に至るまでホラー小説を書き続けている方だと存じてはいるものの、文から行間から漂ってくる怖さが尋常ではない。0時半までに眠らないと明日の仕事に差し障ると分かってはいるのに、読後布団に入ると電灯を消しづらく、心を決めて電灯を消した後も、闇の中から暗い影が立ち上ってきそうな気がして眠りづらい(笑)

なら平日の夜に読まなければいいじゃないかとお叱りを受けそうだが、会社員は夜しか自由な時間が取れないし、小野不由美さんの作品はどれもすこぶる長いのに読み始めると止まらないので、遅読な人間はいつ読み始めても夜の時間を過ごさざるを得ない(笑) そんなこんなでちょっと困った小説なのだが、忘れた頃にまた読み始めてしまうあたり、自分は好事家を通り越して阿呆じゃないかとさえ思えてくる。それでも、ホラーでもファンタジーでも、小野不由美さんの小説を読めれば幸せなので、もう阿呆でも何でも本望である。